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超音波探傷器とは?
超音波探傷器とは、超音波を物体に照射し反射波を検出することで、物体の内部の欠陥を検出する装置です。非破壊検査の一種であり、物体を切断や溶接することなく欠陥を検出できます。
超音波探傷器は、自動車、航空器、船舶、鉄道、電力、化学、原子力、医療など、さまざまな分野で使用されており、対象物の傷の有無や位置、大きさまで判別可能です。
超音波厚さ計と探傷器の違い
超音波厚さ計と探傷器は、両方とも超音波を使用して材料や物体の内部情報を評価するための器器ですが、それぞれの目的と用途に応じて違いがあります。
超音波厚さ計は、物体の厚さを非破壊的に測定するための機器です。
超音波を物体の表面から送信し、物体内部を伝播していく過程で反射した超音波を受信し、反射された超音波の時間と速度を測定することで物体の厚さを算出します。
超音波探傷器は、物体内部の欠陥や異常を検出するための装置です。
超音波を物体内部に送信し、物体内を伝播していく過程で異常部分や欠陥に当たった超音波が反射したり散乱したりすることで、欠陥の位置や性質を評価します。
超音波厚さ計は主に物体の厚さを測定するために使用され、超音波探傷器は物体内部の欠陥や異常を検出するために使用されるということです。
超音波探傷器の選び方
超音波探傷器を選ぶ際は、超音波探傷器を使用する目的を明確にすることが重要です。欠陥の種類やサイズ、検査する材料などを考慮して、どのような検査に使用するかを確認します。
次に、必要な機能や性能を決定します。以下項目をポイントに選定しましょう。
- 周波数範囲: 検査する材料や欠陥のサイズに合った適切な周波数範囲を選びます。
- 解像度: 高い解像度が必要な場合、適切な解像度を持つモデルを選びます。
- ディスプレイ: 見やすいディスプレイが重要です。カラーディスプレイやタッチスクリーンがあると操作が便利です。
- 検出深度: 必要な検出深度に応じて、適切な検出深度を持つモデルを選びます。
その他、サイズや重さ、バッテリー寿命など、ポータビリティ面も考慮しましょう。
操作性を確認したい場合は、デモ器を活用し操作感や性能を実際に体験することをおすすめします。
検出深度と解像度の関係:どちらを優先すべきか?
検出深度と解像度は超音波探傷器の性能に大きな影響を与えます。検出深度は、超音波が物体内部でどれだけ深く進むかを示し、主に材料の厚さや深部の欠陥を検出する際に重要です。
一方、解像度は超音波が物体内部の細かい詳細をどれだけ正確に分解できるかを示し、小さな欠陥を検出する際に重要です。
どちらを優先すべきかは使用目的に依存します。例えば、深部の欠陥を見逃さず検出したい場合は検出深度を重視し、細かい欠陥を正確に見つけたい場合は解像度を優先することが考えられます。
最適なバランスを見つけるために、検査対象や環境を考慮して決定しましょう。
ポータブル性 vs. 機能性:環境に合わせた選択
超音波探傷器を選ぶ際は、ポータブル性と機能性のバランスを適切に考慮しましょう。どちらを重視するかは、使用環境や検査のニーズによって異なります。
頻繁に屋外での作業が行われる場合、重量やサイズが小さく持ち運びが容易なモデルが便利です。作業現場や移動中でもストレスなく携帯できることが求められます。
高所での作業や狭い空間での検査を行う場合、作業スペースの制約を考慮してコンパクトな超音波探傷機が有利です。
建設現場や工場のフィールドでの作業を行う際には、堅牢な設計と耐久性もポータブル性の一環です。耐衝撃性や耐環境性に優れたモデルが適しています。
一方で複雑な欠陥や材料の特性を分析する場合、高度な機能が求められます。小さな欠陥や微細な変化を検出する必要がある場合、高い解像度と細かい調整機能が重要です。
また、異なる種類の材料を検査する場合は、幅広い周波数範囲の選択肢や多様なオプションがあると重宝します。
ポータブル性と機能性の両方を考慮しながら、検査ニーズと作業環境に最適なモデルを見つけましょう。
周波数範囲の選択肢とその影響
超音波探傷器の周波数範囲は、材料の種類や検査対象によって異なります。高い周波数は細かな欠陥を検出するのに適しており、低い周波数は深部の欠陥を検出するのに適しています。
例えば、薄い材料や細かい欠陥を検出する場合は高い周波数を選びますが、厚い材料や深部の欠陥を検出する場合は低い周波数を選ぶことが一般的です。
周波数範囲の選択には注意が必要であり、適切な周波数範囲を選ぶことで検査の効果を最大化できます。
超音波探傷器「Smartor」
SIUI社が開発したSmartor(スマーター)は、一台で超音波探傷器と超音波厚さ計の機能を持つ機器です。
次のような特徴があり、堅牢性とポータビリティを兼ねそろえています。
- 防塵・防水の堅牢ハウジング(IP66)
- 屋外モードで屋外日照下でも画面が見やすい
- 使用用途に合わせたフィルター設定
- 直観的インターフェイスにより操作が簡単
- 0.9 kgのコンパクトな本体
Smartorは一台に「探傷器」と「厚さ計」の2つの測定モードを搭載しています。それぞれの詳しい機能は以下の通りです。
探傷器
- DAC:より簡単、便利な欠陥評価が可能
- 溶接シュミレーション:溶接の欠陥を速やかに発見(オプション機能)
- AVG/DGS:FBHエコーを参考に自動作成(オプション機能)
- Bスキャン:見やすく解析しやすいテスト結果の獲得(オプション機能)
- FFT:スペクトラムと中心周波数を正確に測定(オプション機能)
- 個別設定ウィザード:設定を簡単に作成可能(オプション機能)
厚さ計
- スルーコーティング測定:母材の厚さとコーティング厚さを同時に表示(オプション機能)
- データセット管理:測定結果を記録し、グリッド表示(オプション機能)
- TDG:板厚による減衰を補償(オプション機能)
- Bスキャン:移動速度かエンコードに基づき、スキャン表示(オプション機能)
- 温度補償機能:校正ブロックとワークに温度差がある場合、温度補償に使用(オプション機能)
- V-PATH校正機能:プローブ毎のVpathカーブを作成(オプション機能)
小型超音波探傷器 比較
Smartorと同様に小型の探傷器を比較しました。
項目 | Smartor | DIO-1000J | USFD-20 | UI-S9 |
メーカー | SIUI社 | 日本ソナテスト | KJTD | 菱電湘南 エレクトロニクス |
重量(g) | 0.9kg | 1.28kg | 0.84kg | 2.6kg |
画面サイズ | 5.7インチ | 99×130 mm | 5.7インチ | 6.5インチ |
用途 | 溶接部の探傷 パイプの厚さ測 | 溶接部の探傷 | 溶接部探傷 厚板探傷 | 溶接部探傷 厚み計測 |
ディスプレイ | 屋外モード搭載 | 日光下でも良く見える カラーディスプレー | 屋外モード搭載 | 高輝度・高コントラスト LED液晶採用 |
バッテリー | 8時間以上 (標準モード) | 8時間 (ディスプレー照明時) | 最長2時間の モニター波形録画 | 10時間連続運転可能 |
超音波探傷器は用途に合わせて正しく選定
超音波探傷器を選ぶ際には、検査の目的や作業環境に合わせて注意深く選択することが重要です。
可能であれば、選んだモデルをデモや試用し操作感や性能を実際に確認することをおすすめします。
製造工程や製品の品質管理を効率的に行うためにも、目的に合わせた超音波探傷器を使用しましょう。